厚生労働科学研究費補助金(難治性疾患政策研究事業)
日本医療研究開発機構(AMED)(難治性疾患実用化研究事業)
視覚聴覚二重障害の医療

先天性および若年性の視覚聴覚二重障害の原因となる難病の診療マニュアル(第1版)

患者会(全体)

盲ろう者友の会について

(1)盲ろう者友の会の成り立ち

「盲ろう者友の会」という組織がどのように成立してきたかについて簡単に記述します。1981年11月、「福島智君とともに歩む会」(後に「東京盲ろう者友の会」となる)が東京で設立されました。1984年10月、「障害者の学習を支える会(門川君とともに歩む会)」(後に「大阪盲ろう者友の会」となる)が大阪で設立されました。

1991年、東京盲ろう者友の会が設立され、続いて大阪盲ろう者友の会も設立されました。その後、盲ろう者支援活動は全国的な高まりをみせ、全国盲ろう者協会の支援もあって、各地に盲ろう者友の会が次々と誕生しました。現在、全ての都道府県に盲ろう者友の会(類する支援組織を含む)が存在し、地域に根ざした活動を行っています。

(2)盲ろう者友の会の構成メンバー

一般的に、多くの障害者団体では、当事者組織と支援者組織は別々に存在して活動します。例えば、視覚障害者協会と点訳サークル、聴覚障害者協会と手話サークルといったようにです。これに対し、盲ろう者友の会では、盲ろう当事者と支援者が共に友の会に所属して活動しているという特徴があります。

その理由として、盲ろうという障害が重度であるため、盲ろう当事者だけで会を構成し運営することが甚だ困難であるということが挙げられます。また、盲ろう当事者同士であっても、お互いのコミュニケーション方法が違えば、直接コミュニケーションを取ることが難しく、支援者による通訳が必要であるということも理由の一つです。

このように友の会に所属して活動する支援者は、友の会の運営に関わったり、盲ろう者同士の意思疎通の支援を行ったりすることで、友の会の活動を支援しています。

(3)全国盲ろう者団体連絡協議会について

2006年、全国各地の友の会の連合体として、「全国盲ろう者団体連絡協議会(以下「連絡協議会」とする。)」が設立されました。連絡協議会は盲ろう当事者の全国組織という位置づけです。表1に示すように、盲ろう当事者の全国組織は、視覚障害者や聴覚障害者のそれより半世紀以上も遅れて誕生したと言えます。

表1 視覚障害、聴覚障害、盲ろうの各当事者全国組織の設立年

障害種別団体名設立年
聴覚障害全日本ろうあ連盟1947
視覚障害日本盲人会連合1948
盲ろう全国盲ろう者団体連絡協議会2006
  • 全国盲ろう者団体連絡協議会

    http://tarzans.sakura.ne.jp/jfdb/

    taikyoku194tyakugan@ip.mirai.ne.jp

    〒114-0034 東京都北区上十条1-5-1-104

    03-5993-4396

盲ろう者に関する実態

(1)平成24年盲ろう者に関する実態調査

平成24年に社会福祉法人全国盲ろう者協会は盲ろう者に関する実態調査を実施しました。本調査には以下の3つの調査が含まれています。

①視覚・聴覚の身体障害者手帳の交付状況についての調査

平成24年10月30日を基準日として、47都道府県、20政令指定都市、41中核市の障害福祉主管課を対象に身体障害者手帳の交付状況について調査したもの。

②目と耳の両方に障害のある方の生活状況に関する調査

平成25年1月1日を基準日として、視覚と聴覚の両障害が身体障害者手帳に記載されている12,813人に対して、調査票を配布して、回答のあった2,875通について集計されたもの。

③盲ろう者地域団体の活動状況に関する調査

平成25年1月1日を基準日として、49の盲ろう者地域団体を対象として活動状況を調査したもの。

本執筆はこの調査結果に基づいています。

(2)年齢階層別盲ろう者数

平成24年度の「盲ろう者に関する実態調査」、総務省の人口統計を元に作成したグラフを図1に示します。

グラフの横軸は年齢階級、棒グラフが各階級毎の盲ろう者数、線グラフが平成24年時の日本の人口を表しています。人口は60歳代をピークにそれ以降減少しているにもかかわらず、盲ろう者数は60歳代以降も増加を続け、80歳代でピークを迎えています。高齢盲ろう者数(65歳以上)の全体に占める割合は、77.4%と高い値を示しています。これに対して、生産年齢盲ろう者数(15歳~65歳未満)は18.1%、年少盲ろう者数(15歳未満)は0.8%となっています。

図1 年齢階級別盲ろう者数

図1 年齢階級別盲ろう者数

(3)年齢階層別盲ろう者率と増加率

各年齢階級の人口に対する盲ろう者の占める割合を「盲ろう者率」とします。さらに、前階級と比較した盲ろう者率の増加の割合を「増加率」と定義して、各々求めたグラフを図2に示します。棒グラフが盲ろう者率、線グラフが増加率を表しています。

盲ろう者率は年齢が上がる毎に増加していることから、年齢が高いほど人口に対する盲ろう者の占める割合は高くなると言えます。一方、増加率は30歳代から40歳代にかけて一旦減少し、その後、年齢と共に増加していることがわかります。

図2 年齢階級別盲ろう者率及び増加率

図2 年齢階層別盲ろう者率と増加率

当事者組織としての要望

連絡協議会は当事者組織として、各方面に対し、以下のように要望します。

(1)医療機関に対する要望

① 全年齢階級における要望

  • 盲ろうの原因となる疾患の治療、症状の軽減、合併症の予防に取り組んで欲しい。
  • 疾患について十分な情報提供をして欲しい。
  • 予後の告知は、盲ろう者や家族のその後の生き方に大きな影響を及ぼすことから、教育、福祉機関などとの十分に連携を取った上で、きちんと行って欲しい。
  • コミュニケーション能力に配慮した診察を行って欲しい。盲ろう者におけるコミュニケーションには時間を要することから、例えば他の患者とは別枠で時間を取って行うなどして欲しい。

② 修学前における要望

  • 盲ろうの原因となる疾患の早期診断、早期治療に取り組んで欲しい。
  • 盲ろう児がたらい回し的に扱われるのではなく、複数の医療機関における連携により、質の高い医療サービスを受けられるようにして欲しい。
  • 家族に対して十分な情報提供をして欲しい。家族が医学的な情報のみならず、教育的、福祉的、その他の必要な情報を得ることで、様々な社会資源を活用できるようにして欲しい。
  • 教育機関と連携し、盲ろう児が二次的知的障害に陥ることのないようにして欲しい。

(2)教育機関に対する要望

  • 盲ろう児においては、早期教育が重要であることから、できる限り早期に教育を開始してほしい。就学前教育の充実が望まれる。
  • これまで視覚障害児や聴覚障害児に対する教育法が研究・開発されてきたことと同様、盲ろう児に対しても適した教育法の研究・開発を行って欲しい。
  • 盲ろう児教育についての専門的知識技能を有する教員を育成し、盲ろう児の在籍する学級に配置して欲しい。
  • 盲ろう児が将来、就業することを念頭に、職業前教育を充実させて欲しい。
  • 家族、医療、福祉と連携しながら、よりよい教育的サービスを提供して欲しい。

(3)福祉行政に対する要望

  • 通訳介助サービスの質的・量的な充実を図って欲しい。
  • 視覚障害者福祉でも聴覚障害者福祉でもなく、盲ろう者福祉を確立して欲しい。
  • 能力に応じた職能開発就労支援をして欲しい。
  • 盲ろう者のための総合リハビリテーションセンターを設立して欲しい。
  • など

(4)関係機関の連携についての要望

① 就労の問題の解決にむけて

図3に示すとおり、20~60歳の盲ろう者のうち、正規雇用されている者は、約1割に過ぎません。非正規雇用、自営業合わせても、就労している盲ろう者数は、およそ全体の4分の1程度です。4分の3の盲ろう者は非就労なのです。

盲ろう者がその能力に応じて、職能を身につけ、就業し、社会で役割を果たしながら、生きていけるようになるためには、本人の努力はももちろんですが、医療、教育、社会福祉、その他の諸機関の長期的なスパンでの連携した取組が必要だと考えます。

図3 20~60歳の盲ろう者の就業状況(平成24)

図3 20~60歳の盲ろう者の就業状況(H24)

②孤独の問題の解決にむけて

盲ろう者における会話頻度についての調査結果を取り上げます。
会話の頻度を
1. 毎日
2. 1週間に5~6日
3. 1週間に3~4日
4. 1週間に1~2日
5. 2週間に1~2日
6. 1か月に1~2日
7. ほとんどない
8. まったくない

の8段階を選択枝として調査が行われました。

ここで「4.1週間に1~2日」から「8.まったくない」までを「会話が少ない状態」と定義すると、このような状態の盲ろう者は全体の26.8%を占めました。また、その割合は、弱視難聴(19.6%)、全盲難聴(23.4%)、弱視ろう(37.8%)、全盲ろう(45.7%)と障害が重くなるにつれて高くなる傾向にありました。

続いて、盲ろう者における外出頻度の調査結果について取り上げます。

会話頻度と同様の選択枝で外出頻度の調査が行われました。外出頻度についても「4.1週間に1~2日」から「8.まったくない」までを「外出が少ない状態」と定義すると、このような状態の盲ろう者は全体の57.3%を占めました。

図4に示すように、この割合は年齢が高くなればなるほど高くなります。また、弱視ろう(48.3%)、弱視難聴(55.3%)、全盲難聴(65.0%)、全盲ろう(65.1%)と、視覚障害の程度が重いほど、外出の頻度が少なくなっていると言えます。

図4 年齢階級別外出頻度の少ない盲ろう者の割合

図4 年齢階級別外出頻度の少ない盲ろう者の割合

③ 総合的で継続的な支援の必要性

会話頻度の少なさ、外出頻度の少なさは、盲ろう者の孤独の状態を表していると言えるでしょう。1週間にわずか2,3回の会話や外出頻度、またはそれ以下の状態とは、果たしてどのようなものでしょうか。人間として、社会参加しながら、生き生きと生活する様とはほど遠いものであることは、誰の目にも明らかでしょう。ここに盲ろう者の「孤独」の問題を指摘することができます。

こうした盲ろう者の孤独や就労の問題の解決のための最も重要な要素は、本人の意欲や努力であることは確かです。しかしながら、視覚と聴覚の二重の障害を持つ盲ろう者にとって、本人の意欲や努力だけで解決できるものでは到底ありません。社会全体としての支援がとても重要で、それ無しに、孤独や就労の問題を含めた、盲ろう者の抱える諸問題を解決することはできないのです。

医療、教育、福祉、その他の諸機関が、盲ろう者の存在やニーズについて、情報を伝達し合うという次元に留まることなく、当該盲ろう者をそれらのサービスの中心に据えて、各々の機関の有する情報や価値観を共有しながら、有機的な連携を図り、総合的で継続的な質の高いサービスを提供して欲しいと考えます。

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