視覚聴覚二重障害の医療

厚生労働科学研究費補助金(難治性疾患政策研究事業)
日本医療研究開発機構(AMED)(難治性疾患実用化研究事業)

厚生労働科学研究費補助金
(難治性疾患政策研究事業)
日本医療研究開発機構(AMED)
(難治性疾患実用化研究事業)
視覚聴覚二重障害の医療

先天性および若年性の視覚聴覚二重障害の原因となる難病の診療マニュアル(第1版)

コルネリア・デランゲ症候群

疫学

発症頻度は1万人に1人から3万人に1人と言われており1)、2)、推定頻度から算出した推計罹患者は約4000人です。

原因

約半数の症例に5番染色体短腕(5p13)に存在するNIPBL遺伝子の変異をみとめ、一部の症例はX染色体上SMC1の変異により発症します。その他、RAD21、SCC1、SMC3、HDAC8遺伝子にも変異をみとめる場合があります3)

視覚障害の自然歴

さまざまな眼症状がみられますが、頻度が高いのは屈折異常、特に近視です4)。近視が強度の場合は、眼鏡を装用します。小児期の眼鏡装用は視力の発達を促す目的もあります。鼻涙管閉塞、白内障、斜視などは、症状が重い場合は手術を必要とします。

聴覚障害の自然歴

コルネリア・デランゲ症候群患者では、聴覚障害はとても一般的です(85-90%)。両側性で幼小児期からみられ、軽度のものから重度のものまで幅広くみられます(40-50%)5)。感音難聴が25%、伝音難聴が75%という報告6)や、成人では患者の45%に感音難聴を認めるという報告があります7)。ツチ骨、キヌタ骨奇形や、乳突蜂巣の発育不良、蝸牛奇形、前庭奇形中耳・内耳奇形がみられることがあります8)、9)。伝音難聴は滲出性中耳炎に随伴する二次的なものであることが多く(80-85%)、耳管狭窄が30%の症例で見られます10)。慢性中耳炎や滲出性中耳炎、慢性副鼻腔炎は成人のなかでは一般的に言われています(39%)11)。早期に難聴の確定をすることはコミュニケーションスキルを培うために重要であり、Auditory neuropathyの可能性を考慮して、早期からDPOAE、ABRを含めた聴覚検査を行うべきであるとされています。聴力は、重度の難聴も含めて、成人患者の50%で改善するという報告があります10)

慢性中耳炎や反復性中耳炎による難聴に対しては、鼓膜形成術や鼓膜チューブ挿入術を行います。軟部組織が中耳腔や乳突洞に充満している場合には乳突削開術も考慮されます。手術の効果がない場合は気導補聴器や骨導補聴器が選択肢となります12)

眼科診療の注意点

視力の評価、眼底検査、眼圧測定、眼脂が続く場合は鼻涙管の通水試験を行います。異常があれば定期的に診察します。

耳鼻咽喉科診療の注意点

構音不良は難聴だけでなく、筋緊張低下や口蓋、下顎、顎関節の形態異常によってもおこるため2)、総合的な評価が必要です。また、成長指標が遺伝学的要因により異なり、5歳のときに38%の児が話し始めるとする報告もあります。また、言語能力が高い児もいる一方で、視覚聴覚障害がなくてもコミュニケーション能力が限られている例もあり、例えば痛みの訴えがどれほどかなどの評価が難しいこともあります。診察や検査などで苦痛を伴う可能性がある場合は、Face legs activity cry consolability(FLACC)やNon-communicating children’s pain checklist(NCCPC)などを用いて評価することも考慮します。

Webページ・文献

  • 1) Kline AD, Grados M, Sponseller P, et al: Natural history of aging in Cornelia de Lange syndrome. Am J Med Genet C Semin Med Genet 2007;145C(3):248–260.
  • 2) Kline AD, Moss JF, Selicorni A, et al: Diagnosis and management of Cornelia de Lange syndrome: first international consensus statement. Nat Rev Genet 2018;19(10):649-666.
  • 3) 小児慢性特定疾患情報センター, https://www.shouman.jp/disease/details/13_01_007/, 参照(2019-09-26)
  • 4) Levin AV, Seidman DJ, Nelson LB, et al: Ophthalmologic findings in the Cornelia de Lange syndrome. J Pediatr Ophthalmol Strabismus 1990;27:94-102.
  • 5) Sataloff RT, Spiegel JR, Hawkshaw M, et al: Cornelia de Lange syndrome. Otolaryngologic manifestations. Arch Otolaryngol Head Neck Surg 1990;116(9): 1044–1046.
  • 6) Marchisio P, Selicorni A, Pignataro L, et al: Otitis media with effusion and hearing loss in children with Cornelia de Lange syndrome. Am J Med Genet A 2008;146A(4):426–432.
  • 7) Marchisio P, Selicorni A, Bianchini S, et al: Audiological findings, genotype and clinical severity score in Cornelia de Lange syndrome. Int J Pediatr Otorhinolaryngol 2014;78(7):1045–1048.
  • 8) Sasaki T, Kaga K, Ohira Y, et al: Temporal bone and brain stem histopathological findings in Cornelia de Lange syndrome. Int J Pediatr Otorhinolaryngol 1996;36(3):195–204.
  • 9) Kim J, Kim EY, Lee JS, et al: Temporal bone CT findings in Cornelia de Lange syndrome. AJNR Am J Neuroradiol 2008;29(3):569–573.
  • 10) Janek KC, Smith DF, Kline AD, et al: Improvement in hearing loss over time in Cornelia de Lange syndrome. Int J Pediatr Otorhinolaryngol 2016;87:203–207.
  • 11) Hyman P, Oliver C, Hall S: Self- injurious behavior, self- restraint, and compulsive behaviors in Cornelia de Lange syndrome. Am J Ment Retard 2002;107(2):146–154.
  • 12) Sakai Y, Watanabe T, Kaga K: Auditory brainstem responses and usefulness of hearing aids in hearing impaired children with Cornelia de Lange syndrome. Int J Pediatr Otorhinolaryngol 2002;66(1):63–69.

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