厚生労働科学研究費補助金(難治性疾患政策研究事業)
日本医療研究開発機構(AMED)(難治性疾患実用化研究事業)
視覚聴覚二重障害の医療

先天性および若年性の視覚聴覚二重障害の原因となる難病の診療マニュアル(第1版)

定義

定義:
視覚聴覚二重障害(英語: deafblindness, deaf-blindness, deaf/blindness)は視覚と聴覚の重複障害を有することを指します。

重症度:
視覚聴覚二重障害の重症度は視覚障害の重症度、聴覚障害の重症度を足し合わせて推定する事はできず、発達時期・状況に応じた感覚受容の困難度、並びに視覚聴覚以外の障害を考慮した形での重症度の評価が必要となります。

発達時期の定義:
新生児1ヶ月未満
乳児1ヶ月以上1歳未満
幼児1歳以後-6歳未満
小児6歳以後-18歳未満
成人18歳以後

各障害の受障歴における区分:視覚障害・聴覚障害それぞれの発症時期に基づき以下のように区分されます。

先天盲ろう先天的、乳・幼児期に視聴覚の両方に障害を発症する。
盲ベース盲ろう視覚障害が先に発症し、その後聴覚障害が発症する。
ろうベース盲ろう聴覚障害者が先に発症し、その後視覚障害が発症する。
中途盲ろう先天的、乳・幼児期に視聴覚障害がなく、その後、視覚聴覚の両方に障害を発症する。
加齢に伴う盲ろう老人性難聴や老人性白内障など、加齢に伴う疾病によって視覚聴覚の両方に障害を発症する。

先天性および若年性の視覚聴覚二重障害は先天盲ろう、盲ベース盲ろう、ろうベース盲ろう、中途盲ろうを指します。

聴覚障害の重症度(良聴耳平均聴力レベル(500Hz, 1000Hz, 2000Hz, 4000Hz))

軽度

25dB以上40dB未満

小さな声や騒音下での会話の聞き間違いや聞き取り困難を自覚します。
新生児~幼児では見逃されていることもあります。
補聴器なしでも普通学校、仕事にあまり問題ないことも多いです。
会議や授業の聞き取り改善や、乳児幼児の正しい構音獲得のためには補聴器が有用となる場合があります。
中等度

良聴耳40dB以上70dB未満

普通の大きさの声の会話の聞き間違いや聞き取り困難を自覚します。
補聴器の良い適応で、補聴器装用で普通学校、一般の仕事が可能なことが多いです。
高度

良聴耳70dB以上90dB未満

身体障害者障害程度等級表における聴覚障害の6級、4級に相当します。
非常に大きい声か補聴器を用いないと会話が聞こえません。しかし、聞こえても聞き取りには限界があります。
補聴器でも学習、一般の仕事に困難を経験します。
聴覚特別支援学校・難聴学級との連携が必要となります。
人工内耳の装用が考慮される場合があります。
重度

良聴耳90dB以上

身体障害者障害程度等級表における聴覚障害3級、2級に相当します。
補聴器がないと大部分の音が聞こえない。
補聴器をつけても会話は聞き取れないことが多い。
聴覚特別支援学校へ進む場合がある。
人工内耳の装用が考慮される。

視覚障害の重症度(小児)

小児では視機能の発育過程である為、発育段階により評価が異なります。また、視力・視野・両眼視機能、視覚障害を原因とする生活の困難さや就学・福祉における支援の必要性を総合的に評価し、視覚障害の程度を同定する必要があります。
参考として6~8歳を想定した基準を呈示します。

軽度

罹患眼が片眼で、罹患眼の矯正視力が0.3未満

両眼視機能(立体視)や視野に、ある程度の障害を生じます。
片眼が良好なため、普通学校での学習にあまり影響しません。
微細な運動機能に影響が出ます。
中等度

罹患眼が両眼で、良好な方の眼の矯正視力0.3以上

小さな文字や遠くの文字の読み取りがしばしば困難である(参考:小児はしばしば自覚症状を訴えないので注意が必要)。
ロービジョンケア・サポートにより普通学校での学習が可能な場合が多いです。
高度

罹患眼が両眼で、良好な方の眼の矯正視力が0.1以上、0.3未満

一般の文字の読み書きが困難なため、ロービジョンケア・サポートが必要です。
独自で移動や運動が困難なため、ロービジョンケア・サポートが必要です。
ロービジョンケア・サポートを利用しても普通学校での学習に困難を伴います。
視覚特別支援学校・弱視学級と連携が必要です。
重度

罹患眼が両眼で、良好な方の眼の矯正視力0.1未満

ロービジョンケア・サポートを利用しても読み書きが困難な場合があります。
ロービジョンケア・サポートを利用しても独自で移動や運動が困難です。
ロービジョンケア・サポートを利用しても普通学校での学習に強い困難を伴います。
視覚特別支援学校へ進む場合がしばしばあります。

*視野狭窄(中心の残存視野がゴールドマンI/4視標で20度以内)を伴う場合には1段階上の重症度となります。

視覚障害の重症度(成人)

軽度

中等度より軽い障害

読字、独自歩行、仕事にあまり影響しないです。
中等度

罹患眼が両眼で、良好な方の眼の矯正視力0.3以上

ロービジョンケア・サポートが無いと、一般の大きさの字の読字に困難を自覚します。
ロービジョンケア・サポートにより、一般の仕事が可能なことも多いです。
高度

罹患眼が両眼で、良好な方の眼の矯正視力が0.1以上、0.3未満

ロービジョンケア・サポートを利用しても、読字に困難を自覚する事があります。
ロービジョンケア・サポートにより、独自歩行可能だが困難を自覚します。
ロービジョンケア・サポートを利用しても、一般の仕事では困難を自覚します。
重度

罹患眼が両眼で、良好な方の眼の矯正視力0.1未満

ロービジョンケア・サポートを利用しても独自が困難な場合があります。
ロービジョンケア・サポートを利用しても独自で移動や運動が困難です。
一般の仕事を独自で行うことは困難である。

*視野狭窄(中心の残存視野がゴールドマンI/4視標で20度以内)を伴う場合には1段階上の重症度となります。

それ以外の視覚障害の重症度分類

世界保健機関(WHO)

視力0.05未満
ロービジョン0.05以上0.3未満

文部科学省

視力0.02未満
準盲0.02以上0.04未満
弱視0.04以上0.3未満

特別児童扶養手当、障害児福祉手当の障害程度認定基準

最重度0.02以下
重度0.04以下
中等度0.05以上0.08以下

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