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先天性および若年性の視覚聴覚二重障害の原因となる難病の診療マニュアル(第1版)

クニースト骨異形成症

疫学

1952年にドイツの小児科医Kniestにより初めて記載された不均衡性低身長を呈する骨系統疾患で、II型コラーゲンの異常によります。1992年の国際分類でクニースト-スティックラー骨異形成症グループに分類されました。常染色体優性遺伝形式をとるとされます。臨床的な特徴としては、相対的に大きな頭、鼻根部平低、眼球突出を伴う特有な扁平な円形顔貌、口蓋裂、胸椎後弯、腰椎前彎の増強、中等度から軽度の側彎、広く短い胸郭、短い四肢、大関節の腫大、関節可動域の制限、網膜剥離、近視、難聴、慢性中耳炎の合併が報告されています。スティックラー症候群と同様、Pierre-Robin anomalyを認めた本疾患の報告もあります1)。頻度は明らかではありませんが、極めて稀で100万人に1人と推定され、男女等しく罹患の可能性があります。日本整形学会によると、2017年時点での本邦の患者数は推計で約1500人、その内、成人患者は約1000人です2)

原因

軟骨や硝子体ゲルに豊富に存在するⅡ型プロコラーゲン(COL2A1)遺伝子の変異によって発症し、常染色体優性遺伝を呈します。

視覚障害の自然歴

進行性の強度近視、硝子体変性、裂孔原性網膜剥離の発症リスクが高く、眼科的特徴は、スティックラー症候群のようなII型コラーゲンの他疾患と類似します。水晶体亜脱臼の報告もあります。

聴覚障害の自然歴

詳細な報告はありませんが、スティックラー症候群の類縁疾患と考えられることから、スティックラー症候群と同様、進行性感音難聴の合併が多くみられます。また50%は口蓋裂を合併するので、滲出性中耳炎にも罹患しやすく、伝音難聴や混合難聴を生じることもあります。

眼科診療の注意点

両眼性の網膜剥離の発症リスクが高いため、定期的、長期的な眼底検査を行う必要があります。また、屈折異常に対して眼鏡装用による矯正を行います。

耳鼻咽喉科診療の注意点

聴力の精査を早期に行い、進行性難聴の可能性を考慮し慎重に経過観察を行います。また他科との連携も重要です。

Webページ・文献

  • 1) 浅沼秀臣, 網塚貴介, 新飯田裕一, 他:Pierre-Robin anomalyと呈したKniest dysplasiの1例. 小児科臨床1998;51:129-133.
  • 2) 2型コラーゲン異常症関連疾患,小児慢性特定疾病情報センター, https://www.shouman.jp/disease/details/15_02_009/, 参照(2019-09-30)

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