特別支援教育施設における視覚聴覚二重障害の代表的疾患と対応
典型例
平成29年度に国立特別支援教育総合研究所が実施した「特別支援学校における盲ろう幼児児童生徒の実態調査」では、315名の盲ろう幼児児童生徒が特定されましたが、視覚障害及び聴覚障害の原因として、以下の回答が得られました(回答者:当該学校担任、養護教諭等)。
(1)視覚障害の原因
未熟児: 39人 CHARGE症候群: 37人 中枢性障害(皮質盲等): 7人 ダウン症候群: 5人 アッシャー症候群: 4人 サイトメガロウイルス感染症: 4人 先天性風疹症候群: 3人 事故: 3人 髄膜炎: 2人 その他:(網膜色素変性症、緑内障、自傷、小眼球、
脳性マヒ、コケイン症候群、先天性疾患等の記載)93人 不明: 98人 - (2)聴覚障害の原因
CHARGE症候群: 37人 未熟児: 27人 サイトメガロウイルス感染症: 5人 ダウン症候群: 5人 中枢性障害(皮質盲等): 4人 先天性風疹症候群: 3人 アッシャー症候群: 3人 事故: 3人 その他:(脳性マヒ、4P-症候群、コケイン症候群、コルネリア・
デ・ランゲ症候群、ティサックス病等の記載)45人 不明: 151人
対応の注意点
(1)視覚障害及び聴覚障害に関する基本的な知識と状態の把握
疾患とその配慮事項など、視覚障害及び聴覚障害に係る事項についての基本的な知識を得ることが求められます。アッシャー症候群など疾患によっては、進行性の疾患もあるので、視力や視野などの視覚の状態、聴力などの聴覚の状態については、正確に把握することが必要です。また、補聴器や補聴システム、人工内耳、弱視レンズなどの知識も必要となってきます。
日頃の学校生活を送る中での変化等については、学級担任や養護教諭、看護師等で情報を共有し、視覚や聴覚の状態や投薬等を把握しておくことが必要です。状態の把握によって、適切な対応をとることができます。(2)関係機関との連携
眼科医、耳鼻咽喉科医、小児科医をはじめとした医療機関との連携は不可欠です。日常における視覚や聴覚の状態を把握していることで、医師とのスムーズな情報交換をすることや、より適切なアドバイスを受けることができます。
また、視能訓練士、言語聴覚士、理学療法士などとの連携も大切です。(3)心のケア
障害を発症した時期によっては、見えにくさや聞こえにくさを受容できず、学習や生活に消極的になってしまったり、進行性の疾患で視力低下や視野狭窄、聴力低下などを感じて不安感を抱いたりしている場合もあるため、本人のおかれている状況や心理状態を見極め、早めの対応をすることが大切になってきます。保護者、スクールカウンセラーとの連携と共に、必要に応じて、専門機関との連携をとることも必要になってきます。